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Q1 最近、他院からの転入院等で、喀痰や便からESBLが検出されている方が増加しています。ESBLに対する対応は、MRSAとまったく同じでよいのでしょうか?また、MRSA患者とESBL患者は同室にしてもよいのでしょうか?
A1
2006年CDCガイドライン「医療環境における多剤耐性菌の管理」ではコホーティングは「同じ感染性病原体に感染または保菌している患者を一緒にする行為に適応される」とあります。MRSAはグラム陽性球菌で、ESBLはグラム陰性桿菌ですので、耐性菌であっても種類が違うため、同室にしてもコホーティングとはなりません。MRSA患者とESBL患者を同じ部屋に入室すると、MRSA患者にもESBLの伝播のリスクがあり、ESBL患者にもMRSAの伝播リスクがあります。以上のことより、違う部屋で管理することが望ましいと考えます。また、ESBLの耐性遺伝子はプラスミド上にあるため、他の人の体内に入り、耐性化していない大腸菌などに遺伝子が伝播しやすいところがあります。原則としては個室隔離や、同じ耐性菌検出者だけを同室にする集団隔離となります。他の耐性菌検出者と同室にすることは避けることが勧められます。
米国疾病予防管理センター(CDC)が出した隔離予防のためのガイドライン2007:医療現場における感染性微生物の伝播予防」および「医療環境における多剤耐性菌管理のためのガイドライン」には、多剤耐性菌のなかにMRSA、VRE、VISA/VRSA、MDRP、MDRAや耐性肺炎球菌に加え、ESBL産生菌が含められており感染対策としてはどれも接触予防策が推奨されています。同室にするのであれば、ベッド間を約1m以上の空間距離、接触予防策とカーテン隔離などの対策をとる必要があります。転入院等で増加していることから、伝播の機会をもっと減らすために、患者集団に医療従事者を指定も可能であれば実施してもよいと考えます。