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クロストリジウム・ディフィシル関連疾患について

Q1 CD毒素の検査を治療効果判定のために行う意味はないと学びました。しかし、フラジール内服開始後、軟便が複数回出るとき、CD毒素を再検し、陰性なら、クロストリジウム・ディフィシルは治癒と考え、隔離解除してもよいのでしょうか?

A1 2013年 米国消化器学会「クロストリジウム・ディフィシル感染症の診断、治療、予防のためのガイドライン」の勧告によると、「クロストリジウム・ディフィシル(CD)の検査は、下痢を呈する患者の便のみに実施すべきである。再検査は推奨しないし、治癒を確認するための検査も実施しない」とあります。軽快しても、クロストリジウム・ディフィシル(CD)はしばらくの間、便の中に排菌されるので、再検査は不要です。
また、便中CD毒素感度は、それほど高くはなく、検査が陰性でもCDIではないと否定することはできません。逆にCDIでメトロニダゾールやバンコマイシンの内服治療後に便が固形化し症状の改善が認められてもCD毒素を再検し、CD毒素が検出されることがあります。毒素検査を隔離解除の指標には用いずに、軟便の原因を慎重に鑑別していただき、治療が終了して臨床的にCDIが治癒したと思われるなら、隔離解除をします。症状消失後2日間経過観察期間を設けている病院もあります。
 接触予防策をいつまで続けるかのかに関しては、米国疾病予防管理センター(CDC)が出した「隔離予防策のためのガイドライン2007:医療現場における感染性微生物の伝播予防」には、「有症状の期間のみ」とあります。ほか、症状消失後24時間まで、症状消失後48時間まで、症状消失後1週間までなど、様々な意見があります。また、再発することが多いので、隔離解除後も標準予防策を行い退院まで注意深く経過を見守ることが必要です。
治療は、重症度で選択します。軽症でフラジールを開始し効果に乏しい場合はバンコマイシンに変更して治療を行います。治療期間は10~14日間です。下痢が遷延する場合、使用抗菌薬の中止や使用方法についての介入も必要です。

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